The reason why...

何が?

Jeremy Jensen – Owner/Creator of Grassroots Powdersurfing

Grassroots PowderSurfingのこと。

今シーズンはより頑張って、これを広めようとしている事。

”この遊び”じゃなくて、”Grassroots PowderSurfing”を。

Grassroots PowderSurfingGoInsaneで取り扱い始めたのは2011年の冬。

きっかけは数年前から、いい歳コイて始めたSkateBoard

正直に言えば、GoInsaneのメインな筈のFreeStyle-Kayakに飽き始めていた。 

競技志向が強くなった…と言うか単純に国内外を見渡して僕がPlayboatを始めたころのような”カッコ良さ”が減っていき、シーンに魅力を感じられなくなりはじめたころ。それをどうにかしようというモチベーションも下降気味で、Kayakに対する情熱がかなり薄れかけていた。

怖いから一生やらないし、どんくさい僕にはできないと思っていたSkateBoardをクルーザーからロングに乗り継ぎ、下手くそながら楽しくなってきて、いわゆるスケーターと言われる人たちのSkateBoardに注ぐ熱量とシーンのカッコよさを感じ、逆説的にKayakへのモチベーションを取り戻した。

取り戻したころには、やっと気持ちが乗ってきたら冬。凍てつく真冬の川で漕ぐことは僕たちにとっては何でも無いことだけど…

2011年の冬はホームゲレンデの川に水が無い!いつもならあるはずのソコはからからに干上がり、冬をどう過ごしていいかわからない状態。


そんなある日、Grizzly時代をさらにさかのぼり、SSWの頃からの遊び仲間であるオカダモトイ氏からGrassroots PowderSurfingが面白そうだよと言う話を聞く。

もちろんまだ日本へは輸入されてなくて、代理店も無い。自分で輸入するしかない。値段も安くないし、面倒くさいし、そもそも日本に出荷してくれるかどうかすらわからない。

ダメもとで連絡してみると、OwnerのJeremyからすぐに返信が来て、『いいよ、何本??』-あさりOK。

それではという事で、一本だとコストが高くつく(結果何本でも大して変わらなかったけど)と思い、冬の遊びを全くしない=冬になると鬱気味になったり、SKIやBOARDで楽しそうな人たちをうらやむ(呪う)だけの季節を過ごしていたRTFはじめとするKAYAK仲間や、お店のお客様数人に声をかけると…俺も俺も! あっという間にオーダーが集まり、最初の7〜8本がやってきた。

さっそくという事で、まずはモエレ沼公園でボブスレーの子供たちに交じってデビユー!

勢い込んで登って滑ってみたものの…まるで乗れません。板の到着までYoutubeなどで見ていたJeremy達の滑りはCGですか?っていうくらい全然滑れない。確かにビンディングは無い、フレックスもほとんどないし、エッヂも無い。でも、まースノボードみたいなもんでしょってナメてたのがいけなかったのか、1mも滑れない。

あーでもないこーでもないと言いながら毎日のように誰か彼かと滑りに行ってるうちにだんだん乗れては来た。調子に乗っていろんな場所に滑りに行くようになる。そしてコテンパンにされる。

そんで、また少し滑れるようになる。それじゃあっち行ってみよう、こっちに行こう。いや、あそこがイイよ! 

そのうちにズッポリとハマりました!楽しくてしょうがありません。雪が降ればニヤニヤ、ソワソワするし、あれほど嫌いだった冬が毎日楽しくてしょうがない。毎日滑りたくてどうしようも無い。

気持ち悪いことに、ハイタッチまでしちゃう俺…

POW-POW!って叫ぶ気持ち悪い、俺…

WEARを新調しちゃう俺…

スノーシューを新調しちゃう俺…

山で初めて会った人と仲良くなっちゃうキャラを守り切れない俺…

ガキの頃に戻ったみたいになった。冬が大好きだった東山のガキに戻ったみたいになった。

それから2シーズン、さらに仲間を増やし最高に楽しい冬を過ごしていたある日…

(ここから本題-その一)

2シーズン目もそろそろ終わりかなと言う頃、Jeremyから突然メールが届いた。

内容的には…

J:『あのね、とある日本の会社から【100本発注するからうちに代理店をやらせれ】って言ってきたんだけど、どうしたらいいと思う?』

うわ〜ハヤッ! って思いましたね。いつかはそういう話が来るだろうとは思ってたけど、取り扱い開始2年目の終わりに、そんな大した数も売ってないのに、もうはやか…

スノーの業界に明るくない僕ではいつか限界が来ると思っていたし、所詮個人経営の店の販売スピードがメーカーのペースについていけるわけもない。

仕方のないこと。振り返れば、(直接の代理店じゃなかったけど)Grizzly時代のMANASTASH,ATLASや最近だとHippyTreeもこれからという時に持っていかれたし、アメリカ人のビジネス感覚ってそれが当たり前だし、連絡くれただけいいやつだなーと思いこう返信。

K:『それは良かったじゃん! 努力が実を結んだんだよ! 僕ではとても一度に100本なんて無理だし、チャンスじゃん! 僕のことは気にしないで、どんどんやんなよ!できればその新しい代理店にGoInsaneにも板を卸してくれるよう頼んどいて。』

更に…

K:『今までありがとう。Grassroots PowderSurfingは可能性あるし、絶対に成功するよ。小さいお店や個人が情熱をもって市場を広げ、実がなる頃には大きい会社や資本があるところが持っていくもんだよ。だから僕は気にしていないし、逆に喜ばしいことだと思う。儲かって日本にきたら、一度一緒に滑ろうぜ!』

そう返信したら帰ってきた答えが…

J:『KOB、お前の言うう通りだ。アイディアと情熱をもって新しいものを作り上げても最終的には大資本がすべてそれを奪い取り、市場を支配する。常識だし、それは俺もよく理解している。だからこそ、俺はそんなのは嫌だ。この会社の名前はGrassrootsだ。この板で、雪山で、仲間と過ごす時間や感覚をまさに草の根的に広げていき、この板に乗った人や関わった人すべてがHappyになることが望みだ。だから、俺はその日本の会社とは取引をしない。Grassrootsを愛してくれて、俺がしたのと同じように日本で広めてくれたKOB、お前とこれからも仕事がしていきたい!』


は?大丈夫なのかな、この人?100本買ってもらえるんだよ? 俺に言われても100本は絶対無理だよ! まともじゃない? またはアメリカ人じゃないの? 俺なら喜んでホイホイ乗り換えるかもよ?

理解に苦しむ内容の返信。にわかには信じがたい内用の返信。もしかしてこの人変人? 弱冠混乱しました。

良く分からないので確認の返信。

K:『それは…これからも僕が輸入して販売を続けていいってこと?でも、僕は100本なんてできないよ。それでもいいの?BigChanceでないの?大丈夫?考え直したほうがいいんでない?』

Jeremyから即座に返信が来て…

J:『Yes! その通りだ。これからもお前が日本のディストリビューターをしてほしい。2シーズン、お前がしてくれたことに心から感謝している。変わらず一緒に仕事がしたい。聞いてくれ! さっきお前が言った事はまさに真実だ。俺は毎日おびえている。いつか大資本が俺のアイディアやスタイルを盗んでいくのではないか? 過去に何度も見てきたように新しいものも商売になると思ったら、雪山も、そこでの遊びにも愛情を持っていないような奴らの商売に利用されるんじゃないかと思って不安になる。だから、今は気持ちが通じるやつと一緒に仕事をしていきたい。KOBには会ったことはないと思うけど、俺にはお前がどんな人間なのか理解できるような気がする。これからもよろしく!』

… 馬鹿だねー、こいつ! 僕なんて信用に値する人間じゃないよ。嘘つきだし、商人だよ。雪山にも、雪の業界にも詳しくもないし、人脈も無いよー。なんで、わざわざ僕を選ぶの? めんどく臭いの?他を探すのが。馬鹿だねーって思いながら、涙が出てきた。

一応男だしね、僕もね。そこまで言われたらやるしかないよね。彼のために、Grassroots PowderSurfingのためにできる努力を、どこまでできるかわからないけど、『お前もういらないよ』って言われるまでの間は全力でやるしかないわけでしょ、この場合。


そんなこんなで更にGrassroots PowderSurfingライダーを少しづつ増やしながら、迎えた冬。2014年2月にOwnerのJeremyと仲間たちが来日。彼の作っている映像作品のために長野で”雪板”クルーに会い、その後北海道の山々をツアー。



The Person=オカダモトイとも余市を滑り、道内様々な場所で様々な人たちとセッション!



初めて会った彼らの印象が、これまたいい人すぎる。まるで日本人のように細やかで、心配になるくらいいい人。ガサツな僕たち北海道人よりも日本人ぽい。


彼らに会って話した事でさらなるモチベーションを獲得し、次の冬も頑張ろうと思っていた矢先…

2014春-倒産-

(本題-その二)

そろそろ次の冬の板のオーダーもまとまり、KAYAKシーズンを迎えたころ。卸先の釧路のお店と大阪のお店が相次ぎ倒産。

当然彼らから受け取っていたオーダーもキャンセルだろうし、他社に出していた彼らのオーダーも受け取ってはもらえないだろうし、支払いもしてもらえないだろう。何しろ店がもう無いんだし。


Grassroots PowderSurfingに当初発注していた分を大幅にキャンセル=変更しなければならず、それをJeremyに伝えなければならないのが申し訳ないしカッコ悪い…

それどころか売掛の未回収が多額で今すぐにでも店がつぶれかねない状況だ。

何とか持ちこたえながら、取り敢えず期限的な問題もあるだろうしJeremyに連絡をしなければならない。

つたない英文でJeremyに事情と状況を説明し、『申し訳ないがオーダーの数をいったん減らさせてほしい。状況が好転したら(好転する保証はないけど)、必ず追加でオーダーを出すから、すまない。』とメール。

帰ってきた返信…

きっとがっかりされる、信用を失うだろうなと思って、そんな内容を想像しながら恐る恐るメールを開く…

J:『状況はわかった、KOB。彼らのことは非常に残念に思うが仕方がない。オーダー数の変更も了解した。(僕ここでホッとする)ただ、一つ提案がある。(再び不安になる)今確定したオーダー分は予定通り10月に間に合うように送る。ただし、支払いは12月にしよう。(へ?)2か月の期間があれば少しはお前の助けになるだろうか? 俺にできることはこれくらいだ。だから、持ちこたえて頑張ってくれ!この先も何かあったら、出来ることはするからい言ってくれ。』

馬鹿だねー、ホント馬鹿だねー。2か月の間に俺が倒産でもしたらどうするんだよ!逆でしょー? それなら金を先に払えでしょ、普通。何を言ってるのかね、この人は… 

涙が止まんなくなるべって!

雪の少ない釧路や大阪のために、Snow-SkateやEra-Boardを輸入して卸したことがあります。

もちろんGoInsaneでは売っていないし、これからもその可能性は皆無です。

五明さんの雪板-もちろんの道具として素晴らしいし、アートと言ってもいいくらいのヴィジュアルもスゲーと思ってます。

それぞれ個人的に作ってる雪板もいいなって思います。Jeremyもみんな自分で板作って乗っているのはうれしいことだって言ってます。

うちの課長がマンションで異臭騒ぎを起こしながら作ってる紫電改シリーズも乗って楽しいし、カッコイイ。

昔のSnowSurf系じゃなくて、今も海外にも他にNo-Bindingのいい板が生まれてます。値段は高いけどTimのSharkとかAsmoとかも魅力的です。SnowSkateも各社凄く進化しています。

Ventureもビンディングありでも無しでも乗れる板あるし、(Fuckin')Burtonからもパクリ販売されてます。

だけど、僕は、GoInsaneではこのカテゴリーの板は、Grassroots PowderSurfinggだけを販売していきます。

そう決めました。全く売れなくなったり、それこそ新しい代理店が決まる日までは、他の板は売りません!(課長のは預かりますが)

先日リリースされた【CAR団地8】にも、旧友NeilがYUKIITAとともに1-セクションをGrassroots PowderSurfingのために使ってくれました。




そして昨日、そのNeilも初のGrassroots PowderSurfing/PowderSlutをGet!



Neil、今年はいいとこ連れてってね!

柄にもないけど、本当に最近は人に感謝を感じない日は無いです。
良い風吹いてきたんで後はいい雪降るのを待つだけです!


さてさて、ハナハダ長文となってしまいましたが、何となく僕の気持ちはお伝えできたでしょうか?


この遊び…じゃなくて僕はGrassroots PowderSurfingを広めていきます!

間もなく冬です! Let it Slide!!

























The reason why